2004.5.28

東京〜大垣 夜行鈍行「ムーンライトながら」号の一夜。

月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。
舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらへて老いをむかふるものは、日々旅にして旅を栖とす。


TOKYO STATION 23:00

東京駅10番線から出発であーる。

 「るふぅ......。」
 「どうしたお嬢、ため息なんぞついて。」
 「金曜日の夜だね......。」
 「うむ。長かった一週間が終わり、明日からの週末に心ときめかす夜であーる。」
 「ボク、どこかに行きたいなぁ。」
 「む!そぞろ神に取り憑かれておるな。」
 「るふぅ......。」
 
 「では、久しぶりに夜行列車に乗って遠くの町へと行ってみるとするか。」
 「うん!行こ!」

  

23時33分、東京駅10番線ホーム入線

今宵はハナキンの夜であーる。

 「あ、汽車が入線してきたね。」
 「我が国の大動脈こと東海道本線を夜を徹して走る夜行鈍行、ムーンライトながら号であーる。」
 「俗に言う大垣夜行だね。」
 「うむ、一日をたっぷり使える夜行列車に、快速というリーズナブルな価格設定。東海道の夜の花としてすっかり定着した由緒正しき夜行列車であーる。」
 「繁忙期には指定席が発売開始と共に売り切れる、そんな人気列車だね。」

ムーンライト・エクスプレスであーる。

 「早速汽車に乗ってみようよ。」
 「373系特急型電車9両編成、ちなみに後ろ3両は名古屋止まりで、終点の大垣まで走るのは前の6両であーる。」
 「確か特急型の電車を使ってるんだね。今夜はよく眠れそうだよ。」
 「うむ。昼間は東海道本線の「東海」や身延線の「ふじかわ」、飯田線の「伊那路」として運用されているのであーる。」
 「そんな汽車に指定席券だけで乗れるなんて、何だか得した気分だね。」

大垣着は明朝6時53分であーる。

 「えーと、大垣ぃ?」
 「岐阜県美濃地方に位置する、静かな城下町であーる。」
 「ふーん。じゃあボクらは是非とも終点まで乗って大垣の町を歩いてみようよ。」
 「うむ。ちなみに大垣は『奥の細道』結びの地にもなった由緒正しき町でもあーる。」
 「ええっ!本当?」
 「あれから三百年、くしくも東京〜大垣間を夜を徹し往くムーンライトながら号の旅人達は、ある意味現在の俳聖松尾芭蕉であーる。」

車内は2人掛けロマンスシート(死語)であーる!

 「さてさて、ボクらの席はどこなのかな?」
 「今や大垣夜行はムーンライトながらという洒落た愛称を持つ全車指定の快速列車なわけだが、実は96年3月改正までは大垣行375Mと呼ばれる無名の普通列車であったのだ。」
 「ふーん、名無しの鈍行列車だったんだ。」
 「勿論当時は全車自由席、乗客達は発車2時間以上前からホームで列を作り汽車を待ったという話であーる。」
 「座れなかった人は夜中のデッキに立ってたんだろうね。」
 「勿論車両もリクライニング無しの4人掛けボックスシート、昔の旅人達はさぞかし大変であったものであーる。」

テーブル付き!豪華であーる!

 「発車まであと10分くらいあるね、今のうちにお菓子を買いに行こうよ。」
 「東京を出れば長時間停車は3時23分着の浜松まで無いからな。ながら号の旅では発車前に餌を仕入れておくことが鉄則であーる!」
 「あれ?今気づいたんだけど4人掛けのボックスシートもあるんだね。」
 「うむ。この座席はセミコンパートメント席といって、洗面所の無い2,3,5,6,8,9号車の車端部に2箇所付いている座席であーる。」
 「リクライニングは無いみたいだけど、4人組でここを使うと楽しそうだね。」
 「ちなみにこの席は指定席購入時に指定しないと発売されないため、一般席が満席でもここの席は結構空いていたりするものであーる。」
 「知る人ぞ知る穴場なんだね。」

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