東海道丑三つ時 

熱海1時23分着・1時24分発

JR東日本エリアの最終駅であーる。

 「♪愛にささやくぅ〜熱海秘宝館〜っと!」
 「我が国有数の観光都市、熱海であーる。」
 「あ!先頭車両で運転手さんと車掌さんが交代しているよ!」
 「ここ熱海はJR東日本とJR東海の境界駅。丹那トンネルを抜ければもうそこは東海圏の空気であーる。」
 「東京駅から104Km!でも終着駅大垣はまだまだ先みたいだね。」

三島1時36分着・1時36分発

三島到着であーる。

 「国境の長いトンネルを抜けると駿河国だったぁ!」
 「三嶋大社の門前町、三島到着であーる。」
 「あっ!駅名表がだいだい色のJR東海バージョンに変わったね!なんだか遠くに来たって感じがするよ!」
 「新幹線の停車駅も、この時間ともなれば閑散としておるな。」
 「三島駅25時、だね。」

 

沼津1時42分着・1時44分発

作者のご先祖様はこの町の巫女さんであーる!

 「沼津到着であーる。」
 「わー、結構ここで降りる人も多いねー。」
 「今日は金曜日であるからな。静岡から単身赴任のサラリーマン達にとって、ムーンライトながら号は家族のもとへと帰る帰宅列車なのであーる。」
 「そうなのかー。お父さんたちもご苦労様だね。」
 「東京中京間を結ぶ夜行列車だけではなく、様々な一面を持つ夜行鈍行、ムーンライトながら号。正に我が国最後の旅情派夜行列車であるな。」
 「そうだねー。」

富士1時57分着・1時58分発

富士到着であーる。

 「お嬢、眠れんのか?」
 「ううん。でも深夜の車窓ってのも風情があって、見ていて結構面白いね。」
 「25時の東海道、漆黒の空の下、ぽつぽつと見える町の灯だけが車窓を過ぎていく。これも夜行列車でしか味わえないロマンであるな。」
 「そうだね〜。あ、富士に到着したよ。」
 「県下第3の都市にして、製紙で有名な町であーる。」

 

静岡2時26分着・2時28分発

東京〜名古屋間のほぼ中間地点であーる。

 「東海一の大都市、静岡に到着であーる。」
 「わ!駅前に大きなビルがたくさん!さすがは人口70万人の大都市だね!」
 「東京からの降車客もちらほら見られ、自由席車にも幾分余裕が出てきたようであーる。」
 「新幹線の最終に乗り遅れた人にとっては、ほんとに便利な列車だね。」
 「ちなみに昔はこの駅で長時間停車の余裕があったため、深夜にもかかわらず駅弁の立ち売りがあったそうであーる。」
 「そういえばちょうど小腹が空いてくる時間だね。ボクも何か食べたいな〜。」
 「残念ながら現行ダイヤではたったの2分停車。餌は次の浜松までお預けであーる!」

越すに越されぬ大井川〜であーる!

 「む、この轟音。汽車が大井川を渡っておるな。」
 「いよいよ西日本に突入だね。」
 「うむ。この辺りは我が国有数の茶の生産地でもあーる。」
 「ちなみに今気づいたんだけど、夜行列車にしては珍しく車内の電灯が減光されないね。」
 「あくまでもこの列車は普通の鈍行列車であるからな。全車指定の特急型電車になり『ムーンライトながら』という洒落た名前が付いても、大垣行375M列車時代の伝統は残っているのであーる。」

浜松3時23分着・3時57分発

浜名湖、天竜川、浜松に到着であーる。

 「はままつ〜はままつ〜。34分間停車であーる。」
 「34分!なんでそんなに停まるのぉ!?」
 「実はこのまま時間通りに走ると名古屋に早くつきすぎてしまうので、きりのいいところで時間を潰しているのであーる。」
 「でもこれでやっと夜のお菓子にありつけるね、駅前にコンビニとかないのかな?」
 「心配せんでも、南口徒歩1分のところにコンビニがあーる!」

 

深夜急行の勇姿であーる!

 「はわわっ!隣のホームをコンテナ列車が轟音を立てて通過していくよ!」
 「東海道は今も昔も物流輸送の大動脈。こうやって彼らは深夜の東海道ベルトを往来し、正に人知れず日本経済を陰で支えているのであーる。」
 「東海道の夜の華は、そんな昼夜問わずに働く貨物列車と運転手さんなのかもしれないね。」
 「うむ。他にも我がムーンライトながらの乗務員や駅係員。彼らも夜を徹して我輩たちを見守る縁の下の力持ちであーる。」
 「御苦労様だね。」

サンライズ号の東京到着は7時08分であーる!

 「あ、反対側のホームに何か汽車がやってきたね、見に行ってみようよ。」
 「東京行きの上り寝台特急、サンライズエクスプレスであーる。」
 「こっちの中の人もみんな、とうに夢の中みたいだね。」
 「東京を去る旅人たちと、東京へといざ向かう旅人たち。深夜のターミナルで毎夜人知れず邂逅が行われているのであーる!」


臨時ムーンライトながら91・92号、もう一つのムーンライト・ストーリー

 「ムーンライトながら」が「大垣行375M」と呼ばれた全車自由席の無名夜行列車だった頃、俗に「青春18きっぷシーズン」と呼ばれる繁忙期の混雑は特に酷く、始発の東京駅では積み残しが出ることもしばしばだった。その為に繁忙期には品川駅を始発とする、もう一本の「大垣夜行」が運転されていた。
 それは「大垣行き9375M(列車番号の先頭9は臨時列車を表す)」という夜行列車で、始発の品川駅を375M列車に2分遅れること23時55分に出発し、定期列車のすぐ後ろを追いかけてくるようなダイヤで終点の大垣駅まで運転されていた。定期の375Mが全車指定の特急型電車に置き換えられ「ムーンライトながら」という愛称が付いても、9375M列車は旧・大垣夜行の伝統を頑なに守り、4人がけボックスシートの全車自由席列車として繁忙期を中心に走り続けていた。
 
 そんな9375M列車が2003年夏のダイヤ改正で大きな変化を遂げた。車両が特急あずさの都落ちである385系特急型電車に置き換えられ、全車指定席になり「ムーンライトながら91.92号」という愛称がつけられた。「ムーンライトながら」との大きな違いは何といっても停車駅と所要時間で、定期の「ムーンライトながら」が東海圏での深夜列車、中京圏での始発列車の使命をも持っていることは前にも述べたが、「ムーンライト91・92号」はあくまで東京と大垣を結ぶ夜行列車としてのみなため、「全区間快速・全区間全車指定制」で運転されているのだ。
 
 「ムーンライトながら91号」は品川駅臨時ホームを23時55分、東京始発の「ムーンライトながら」を2分先行させてから発車する。停車駅も国府津を通過する以外は全く同じで、定期列車のすぐ後をつけてくるかのように夜の東海道本線を疾走する。途中定期列車が34分間停車する浜松で一旦追いつくが、同列車もここで26分の大休止を取るため結局定期列車に先行され、次の停車駅豊橋でこれまた定期列車が大休止中に追いつくというユニークなダイヤである。
 しかしここからが「ムーンライトながら91号」の真骨頂。豊橋では僅か2分停車で定期列車に初めて先発し、そのまま名古屋駅までノンストップで走り抜ける。結果として名古屋には定期列車より46分、終点大垣にはなんと58分も先着してしまう。
 
 そんな「救済夜行」こと「ムーンライトながら91.92号」であるが、登場からまだ日が浅いため知名度はどうも今ひとつらしく、定期列車が満席でも意外と空席が残っている。定期列車よりも約1時間も早く大垣に到着し、車両も老舗の特急型電車を使用するため各車両に洗面所がありデッキもある。また全車指定席なので、小田原から指定席の一部が開放される定期列車より安眠できる。今のところ繁忙期の不定期運転のみだが、時刻表や駅掲示板などをマメにチャックして旅に大いに役立てていただきたい。
大垣駅に到着したムーンライトながら91号
全車指定席の10両編成で運転される。
ムーンライトながら91号の指定席券
4,5号車は喫煙席である。

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