荒尾競馬場

来春から「鹿児島中央駅」に改名します
西鹿児島駅

 西鹿児島駅は翌春に開業する九州新幹線(新八代〜西鹿児島間)建設工事の真っ只中だった。平日の朝だけあって、駅舎からは大量の通勤通学客が吐き出されてくる。
 鹿児島名物の駅前温泉で一風呂浴びて、西鹿児島発7時25分の博多行き特急「つばめ4号」に乗車する。車内は熊本、博多方面への出張族が大半だが、定期券を持った短区間の通勤客も少なくない。

最後の海
不知火海

 遥か天草の島影を臨みながら、不知火海に沿って列車は走る。ちなみにこの川内〜八代間117Kmは九州新幹線が開業すればJR九州から経営が切り離され、第三セクターの肥薩おれんじ鉄道に移管されることが決定している。長野、東北の各新幹線開業時がそうであったように、整備新幹線の建設と平行在来線の廃止は今や避けられない切実な問題となっている。
 余命1年を切った在来線特急「つばめ」も、最後となった夏の不知火海を目に焼き付けるが如く鉄路の上を走っていく。

熊本にて
普通列車とつばめ号

 9時59分、熊本着。九州3位の人口を誇る大都市だけあって乗降が多い。ちなみに荒尾競馬場最寄り駅である荒尾には「つばめ」は停車しないので、向かいホームの10時03分発銀水行き普通列車に乗り換える必要がある。荒尾着は10時46分だ。


入場門
入場門で新聞(500円)げっちゅ!

 荒尾競馬場は駅から徒歩15分程の海沿いにある。別に歩いていけない距離でもないが、丁度駅前に降り立ったと同時に競馬場行き無料バスがやってきたので乗せて頂く。ちなみに競馬場行き無料バスは開催日でも一日4本とのことなので、これは幸運であったと思う。
 ここ荒尾は地理的にも南の果ての競馬場で、交流重賞も行われていない。そのため益田亡き今「日本一小さな競馬場」と呼ばれることも少なくないという。そんな競馬場である。
 
 券売機で100円の入場券を買い、場内へと入る。

パドッグです。
アラブたち

 早速パドッグへと移動する。ここ荒尾では中央では8年前、地方でも各地で廃止されているアラブ種によるレースが健在である。今日も全10レースのうち7レースがアラブのレースだ。サラブレッドに比べてスピード面で劣ることから斜陽のアラブ競馬だが、ここ荒尾ではまだまだ彼らも安泰といったところか。
 中央のギャンブラーは地方を訪れると見慣れぬアラブの血統に刹那たじろぐそうだが、私は大阪時代に地元の園田競馬場でいつも彼らを見ていただけに血統も大体解る。もちろん中央時代のアラブ競走も、まだ覚えている。

海をバッグに馬走る
有明海を臨みながら

 馬券を購入してスタンドへと移動する。今日は平日という事もあり観客の数もそう多くなく、ゆっくりとした時間を過ごせそうだ。初めての地方競馬場で過ごす優雅な時間。この一時がたまらなく贅沢だ。
 ここ荒尾は別名「海の見える競馬場」と呼ばれており、スタンドからはレーストラックの背後に有明海の大海原が眺められる。これほど綺麗な海が眺められる競馬場は恐らく函館とここ荒尾くらいのものであろう。来て良かったと思う。

スターターのおっちゃん
荒尾のダートコース

 ちなみにコースは右回りダート1200mで、馬券は単・複・枠連・枠単・馬連・馬単の6種類が売られている。しかしここ荒尾の馬券戦略は他の地方競馬ち大きく異なり、いわば「騎手で買う」が通用しない。地方競馬にはどこでもその競馬場を代表する「ベテランジョッキー」が必ず一人や二人はいるのが定説だが、ここ荒尾は全騎手の技量が平均していてずば抜けた名手が居ないと聞く。しかも競走馬のレベルも均等で、いわばよく見られる「一騎打ち」「3強激突」といったような競走が少ない。
 荒尾が別名「日本一予想が難解な競馬場」と呼ばれる所以である。
 

よーいどん!
レーススタート!

 しかし南の国の競馬場は時間がゆっくり流れ、難解な馬券とは裏腹に場内の雰囲気は非常にゆったりしている。観客も地元の壮年以上の方々ばかりで、皆恐らくここへ足を運ぶのが生活の一部になっている常連ばかりだろう。決して綺麗とはいえないがこじんまりとしてすっきりした感じの場内を歩けば、あちこちから九州弁を交えた楽しげな予想、馬券談義が聞こえてくる。
 華やかな中央GI競走もいいことはいいのだが、逆に地方競馬には地味だが家族的な雰囲気がある。そんな全国の地方競馬を巡る旅。今回の南の果ての小さな競馬場はそんな「草競馬の原点」に触れられた最高の場所だ。

荒尾競馬の頂点へ!
頼むぞ!タキオン

 今日のメーンレースは第20回荒尾記念。アラ系3歳の重賞競走で、いわば中央で言う「東京優駿」」だ。人気は前走の雪椿賞(中央でいう皐月賞)1,2着馬のツルギビッグワンとワタリタキオン。両馬とも連戦連勝で1冠目に挑んだ正に「2強激突」のレースだったという。当然今日のレースでも、両馬の単勝オッズは2倍台と典型的な「一騎打ち」だ。
 しかし今回は距離を一気に2000mに伸ばした長丁場。しかも敗れたワタリタキオンは地元の名手吉田騎手に乗り替わって雪辱に挑んできている。ここは一つリターンマッチに燃えるワタリタキオンを頭にして、馬単1点買いで勝負する。

南国の砂王を目指して
砂の上の勇者たち

 運命のゲートが開く。3歳馬たちの頂点を目指し、選ばれし精鋭たちが決戦の砂上へと踊り出る。2000mの長丁場。人気の2頭はお互いを牽制するかのように互いに意識しながら走り、残り全馬がそんな2頭を厳しくマークしている。これはいいレースが期待できそうだ。
 2週目の向こう正面で遂に2頭が動いた。それまでゆっくりと流れたレースがたちまち濁流へと変化する。ツルギビッグワンか、ワタリタキオンか。場内のギャンブラー達が一斉にざわめきだす。

 2頭が抜けた、2頭が抜けた。しかしまだ決着は解らない。運命の女神はどちらに微笑むか!ギャンブラー達も皆大声をあげて自分たちの愛馬を懸命に応援する。私も南国の空高く拳を上げ、大声で叫ぶ。

 タキオンが抜けた、タキオンが抜けたぁ〜!
 
  

 


路銀の足しに! 往復5マソかかった罠
一点的中カコ(・∀・)イイ!! 周遊きっぷ大活躍

 

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