2002.11.04

みちのく盛岡JBC
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| ↑結構好み(;´Д`) |
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| あおば通りで発車を待つ仙石線普通列車 |
早朝5時の仙台国分町。杜の都の歓楽街。朝帰りとおぼしき若者達の喧噪と、煙草とアルコールの臭い。そんな夜明け前の不夜
城を抜けて、仙石線あおば通駅へと向かう。
5時43分発の普通電車で出発する。仙台市街を地下区間で抜け、苦竹の手前で地上に出る。東の空にはかすかに紅い雲海がたちこめている。今日もいい天気になりそうだ。
我が国のダート競馬の祭典ともいうべき、ジャパン・ブリーディングファームズ・カップ(JBC)。その記念すべき第2回目がここみとにくの地で行われる。1200mのスプリント戦と2000mのクラシック戦。一日2回のGIレースを擁するこの大祭を明日に控え、こうしてみちのくの地へとやってきた。
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| 今日も一日が始まる。 |
車窓には仙台近郊の住宅地が続き、大阪の学研都市線のようだ。各駅で眠そうな顔をした若者達が降りていく。門限破りの常習犯たちだ。
漁港の街本塩釜で東の海に太陽が昇った。造船所のドックが見える東塩釜でクーラーを提げた釣り人が一人降りていく。やがて列車は日本三景、松島の海岸に沿って走る。晩秋の朝日を浴びて水面がか弱く光り、沖合には小島がぷかぷか浮いている。思わず次の松島海岸駅で列車を降り、朝の空気を吸いに行った。
小一時間後、再び仙石線の列車に乗車する。奥松島の海岸に沿って走り、7時32分石巻着。
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| 石巻マンガロード |
ちなみにここ石巻はかつて漁港として栄え、「奥の細道」の旅を続ける松尾芭蕉も立ち寄った由緒ある港町である。しかし現在はもっぱら漫画家「石森章太郎」の出身地として全国的にも有名になった町である。
駅前には彼の作品である『サイボーグ007』のキャラクター像が建ち、駅前通りのあちこちでも彼の作品に出会うことが出来る。そんな「石巻マンガロード」を抜けて町外れの日和山へ登ると、さわやかな秋風とともに港町が一望できた。
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| 石巻駅 |
今日の予定は9時01分発の石巻線普通列車で気仙沼線が分かれるジャンクション前谷地へ出て、三陸のリアス式海岸に沿って八戸を目指す予定である。しかし前谷地へ着いたとたんに問題が発生した。本来なら23分の接続で乗り継げるはずの気仙沼線の列車が東北線内で人身事故を起こして立ち往生しているという。列車本数の少ないみちのくのローカル線では列車遅延はその日の行動に大きな障害となる。
観鈴ちん!ぴんちっ!
しかしこれだけはどうしようもない。
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| 前谷地駅、快速南三陸入線 |
小さな待合室でただ時が過ぎるのを待つ。駅員さんも情報がよく伝わってないらしく。とにかくお待ちくださいと乗客を宥めるのが精一杯のようだ。しかし都会と違って駅員にくってかかる人も無く、皆落ち着いている。ただ気仙沼へ葬式に行くというおばあちゃんはどうしても昼までに着かないといけないらしく、そわそわしている。
晩秋の東北は肌寒く、そんな中いつ来るかも解らない汽車を待つのはやはりつらい。30分程してやっと気仙沼行きの快速「南三陸」が3両編成でやってきた。車内は仙台からと思しき乗客で満員で、人身事故に巻き込まれた衝撃から心なしか疲れているような表情の人が多い。
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| 海が見え始めました |
柳津を出て北上川の大鉄橋を渡る。全長3508mの横山トンネルを抜けると突然目の前に太平洋の大海原が広がった。いよいよリアス海岸のはじまりである。車窓にはリアス式海岸の入江に出来た小さな漁港が次々と現れるが、快速列車はそれらを黙殺するかのように無人駅を通過する。
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| 南三陸海景色 |
気仙沼湾にぷかり浮かぶ宮城大島が見えると終点の気仙沼は近い。11時25分、29分遅れで南気仙沼に到着。この駅は東北屈指の漁港気仙沼の中心駅だけあって乗客の大半が下車していく。私も彼らに続いて列車を降りた。本来ならこの駅に用は無いのだが、列車遅延の影響で乗り継ぎ列車を一本遅らせざるを得なくなったので、体よく時間つぶしという訳だ。
ただ私と一緒に改札を抜けたリクルートスーツ姿の若い女の子は不安げに駅員さんと話している。入社試験の案内状を持っており、事態の深刻さが伝わってくる。彼女は駅員さんから遅延証明書を受け取ると大急ぎで駅前の電話ボックスに駆け込んでいた。そんな彼女を横目にさすらいのギャンブラーは、ひとり魚市場へと足を伸ばす。
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気仙沼の魚市場は駅から10分程の場所にあった。平日の早朝ともなれば激しいせりが開かれる市場も日曜の昼前とあっては全く人の気配が無く、ただ残り物を漁る海鳥の鳴き声だけがこだまする。潮の香り漂う桟橋に腰掛けてしばし沖合いを眺める。すると間もなく気仙沼大島行きの観光船が満員の観光客を乗せて走り去っていった。
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| ドラゴンくん |
港町の駅に正午のサイレンが鳴り響く。12時04分の普通列車で気仙沼へ繋ぎ、12時18分の大船渡線の快速「スーパードラゴン」盛行に乗車する。
ちなみにこの大船渡線には「ドラゴンレール大船渡線」という愛称がつけられ、汽車にもマスコットキャラ「ドラゴンくん」のステッカーが貼られている。もっとも沿線に龍神の伝説などがあるわけではなく、同線の線路がまるでドラゴンのように曲がりくねって敷かれていることから付いた愛称である。
名勝御崎への玄関駅鹿折唐桑を過ぎると山間に入る。天気は回復して晴れ間も見えてきた。正午の太陽がぎらぎらとまぶしい。まもなく汽車は岩手県との県境へとさしかかる。
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| あきらめムードな二人組 |
突然急ブレーキがかかり汽車が止まった。眼下に見える小さな集落が騒がしい。どうもここ三陸地方を中心に大地震が発生したらしい。汽車に揺られているので気づかなかったがかなりの揺れを観測したらしく、三陸一帯で汽車が立ち往生しているという。
観鈴ちん!だぶるぴんちっ!
晩秋の太陽が照りつける、東北の田舎町。軒先には真っ赤な柿の実がなっている。そんな田舎町の線路で汽車は立ち往生してさっきから全く動かない。村人たちが不安げに動かない汽車を見つめている。しかしただでさえ汽車を一本遅らせている私の行程はこれでもう絶望的となった。一方地元の用務客が大半の車内ではみな不安げな表情こそ見せているが特に動揺する気配も無く、文庫本を開いたりお昼寝を決め込んだりと長閑なものである。田舎の人が羨ましい。
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| 南リアス海岸をのんびり行く。 |
15分程経過し、汽車がゆっくり動き出す。しかし地震で倒れた木が線路に倒れていたりする危険もあるので、大事をとって時速35Kmの徐行運転で運転するという。
陸前高田を過ぎると再び海が広がった。徐行運転のお陰でリアスの海をゆっくり眺めることができる。このあたりの海岸線はウミネコの棲む椿島や碁石海岸といった景勝地が多く、汽車も海岸に沿ってのろのろ走る。
大船渡の市街に入った。リアス海岸の入り江にできた港町で、魚市場の建物も見える。13時44分、30分遅れで大船渡着。乗客の大半は下車するが私は汽車に残り、次の終着駅、盛を目指す。