三陸リアスシーサイド
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| 朝の久慈駅。 |
翌朝5時起床。宿を出て昨夜の山道を引き返す。夜はまだ明けていないが昨夜のような恐怖心はなく、満点の星空の下軽快な足取りで山道を下っていく。東の空が間もなく白み始めた。
朝の始発駅で客待ちのディーゼルカーが白い吐息を出している。駅構内のテレビは朝のニュースと天気予報。今日の東北地方の天気は快晴だが気温が低く、5時の気温は東北地方全体で氷点下の冷え込みとなったらしい。
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| うみ〜うみ〜! |
6時14分発の八戸線普通列車で出発する。間もなく車窓右手に海が広がり朝の太陽が顔を出す。晩秋のか弱い朝日が車内いっぱいに広がった。どこまでも続く青い海、紺碧の白浜。昨日のリアス海岸とはうって変わって八戸線から見える海はどこまでも穏やかな青い海だ。昨夜は久慈の町で旅装を解いて正解だった。
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| ウミネコの島 |
小さな集落ごとに小さな駅があり、八戸へ向かうと思しき用務客や通学生が次々と乗り込んでくる。ウミネコが住む蕪島への最寄り駅、鮫で思わず途中下車し、早朝の海岸の空気を吸いに行った。
間もなく八戸の市街に入る。久々に見る都会の景色だ。市街の中心にある本八戸を過ぎると終点八戸は近い。東北本線と合流し、8時25分八戸着。駅舎はいよいよ来月に迫った東北新幹線八戸開業に先立ち大変貌を遂げていた。
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| 八戸駅 |
東北本線の八戸駅は町外れの静かなところにある。この駅は昭和46年まで尻内と呼ばれていて、それまで先程通った八戸線の本八戸が八戸駅だった。だが今はいよいよ来月に迫った東北新幹線八戸延伸に先立ち駅舎はがらっと改装され、駅前にも真新しいホテル等が建っている。
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| はつかり6号 |
8時40分発の特急「はつかり6号」で東北本線を南下する。ちなみにこの東北本線八戸〜盛岡間は来月1日に東北新幹線が八戸へ延伸されると同時にJRから経営が分離され、県境の目時を境に北は「青い森鉄道」南は「IGRいわて銀河鉄道」という第三セクター鉄道へと経営が分離される。新幹線が開業すれば平行在来線は通学の高校生と病院・買い物通いの老人が細々と利用するだけの赤字ローカル線となり、経営上の大きな足枷となる。そこで民間企業の東日本旅客鉄道株式会社としては新幹線という飴を与える代わりに、平行在来線の赤字という鞭は地方自治体に押しつける訳だ。これは現在列島各地で建設が進められている整備新幹線が抱える最大の問題である。
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| 新幹線の高架橋が時折出現 |
「はつかり6号」の車内は連休最終日とあってほぼ満席だった。用務客から旅行者まで大賑わいだ。向かいの座席で『武豊×ペリエ』と書かれた本を読むギャンブラーもJBCを見に行くのだろうか。
発車後しばらく東北新幹線の高架橋と並走。しかし次の上高屋で新幹線は天空を大きく跨いで山の中のトンネルへと消えていく。一方在来線は馬淵川に沿って山間へと入っていく。りんご畑には真っ赤なりんごの実がなって、刈り取られた田んぼが冬ごもりの準備に入っている。遠くで藁を燃やす煙が秋晴れの空へと上がっている。山々の木々は紅葉真っ盛りだ。
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| 最後の紅葉 |
連続小説『チョッちゃん』の舞台となった山間の小駅諏訪平には汽車時代の名残である長いホームが残っていた。そんな長大ホームの下り線を、2両編成の八戸行き普通電車が過ぎていく。次の停車駅三戸では駅ホームに「十和田湖への最短駅」と書かれた看板が建っているが、この駅は新幹線の恩恵を受けることが出来ない。
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| 岩手県のシンボル、岩手山 |
県境の目時を通過して、岩手県に舞い戻る。
金田一温泉着。駅の真上を新幹線の高架橋が跨いでいる。温泉帰りと思われる乗客が数名乗ってきた。連休をみちのくの秘湯で過ごして東京へ帰るのだろうか、両手の紙袋にはお土産の温泉まんじゅうが入っている。
9時07分、二戸着。駅裏の新幹線新駅はほぼ完成し、いよいよ来月に迫った開業の日を待っている。将来の新幹線停車駅だけあって乗車客が多く、ここで自由席はついに通路まで立客が出るほどの大盛況となった。
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| 盛岡到着 |
馬淵川の流れが急になり、やがて馬淵峡という渓谷美へと変化する。渓谷にもみじが萌えて美しい。やがて汽車は東北本線最大の難所、十三本木峠に差しかかる。余命僅かな特急列車はまるで最期の紅葉美を目に焼き付けるかのように、ゆっくりとした足取りで急勾配を上がっていく。ちなみに来るべき新幹線は、この峠を世界一の陸上トンネルで一気に貫通する。
峠のサミット中山トンネルを抜けると今度は転がり落ちるように峠を下る。遠くに真っ白に雪化粧した岩手山が見えてきた。石川啄木の故郷好摩で花輪線と合流し、雄大な岩手山の麓をラストスパート。間もなく東北新幹線の高架が寄ってきて盛岡の市街に入り、9時55分、終点盛岡に到着した。