Samariana Saga
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『サマリアナ・サガ』
献辞
運命とはいかなるものなのか?
水が高地から低地へ流れ、四季が巡る自然の摂理か?
我々人には想像もつかない、おおいなる神々の意志か?
されど人は、
人としてあるからには、たとえ自らの力が或る事を成すのに及ばぬとしても、
それに立ち向かい、己の生を全うしなければならない。
蒼い空、母なる海、父たる大地、そして、
全ての源たる天元樹(ヴァナ・トゥーリ)。
この広大無辺にして神秘的な自然の中で悩み、苦しみ、
そしてどうしようもない虚無感にみまわれたとしても、
人は生き、人は生きる意味を見出さなければならない。
俗世を離れた賢人たちはまことしやかに、神は万能、というけれど果して真か?
私はそうは思わぬ。
だから聞け、若者よ。
汝の声を。
汝の胸の内、心の奥底にある真の言葉に耳を傾けよ。
神は万能ではない。善かも悪かも分からぬ存在なのだ。
若者よ、思うがままに汝の道を行け。
その行きつく先には必ず真なるものがあるであろう。
天元樹(ヴァナ・トゥーリ)の葉を受け継ぐものよ、さぁ、行くのだ。
新世暦422年 ミレニア国 インスファーレン大図書館にて
司書ルスティ・ヴァシュラールにより発見されし四書の一つ
「ヘルゲスティの赤本」
その表紙裏に無造作に書きつけられた数行の詩をもって
『サマリアナ・サガ』への献辞とする